最近読んだもの①
とても久しぶりな投稿。
大事な請求書とかそこら辺に捨て置いていて、今とてつもなく焦って必死に探していました、皆さんはいかがお過ごしなのでしょうか。
最近はこれといって大して大きな変化がない日々を過ごしていました。変化がないわけではないんだけど、誰かに会うことも少なくて、つまりは「刺激的」ではなかったわけで。
まあバイトには行っているんだけども。
誰かと飲みに行ってとても有意義な話ができた。と思うこともあったんだけど、言語化しようとするとなんかしょぼくなるような気がしたり、うまく表現できなくて、文字に起こすのがおっくうになったりしていました。
今日は連勤も終わり、四月に向けて最後の割とまったりとした四日間が過ごせるから、四月に向けていろいろ予定を立てたり、目標とか、立てたりとかして、行く先見えそうだと思うと、俄然何かに急き立てられているような感じがして。
その勢いで、二月の真ん中ぐらいから頑張ってたくさん本を読もうと思って、読んだ本の感想を忘れないうちに書いてしまおうという魂胆です。
本当は何回も感想を書き起こそうと思ってたんだけど、おっくうでした。
一方でタイトルも忘れているものさえあって、私は本当に読んだ本を秒で忘れてしまうので、書いてしまおうと思います。
「グロテスク」 桐野夏生
これは上下巻に渡る長めのもので、全部合わせて文庫で800ページくらいかな。私は読むのが遅いので、1週間強、普通にかかりました。
この本の大半は主人公の女性の、妹であるユリ子(絶世の美女)が殺されたことで明かされる主人公のユリ子に対する心の中の憎しみや、周囲の人間の思いが語られています。
この本を読むと、私の奥底に隠してある、文中で言ういわゆる、「悪意」がふつふつと湧き上がってくる感覚があります。特に主人公の女性の心中語や発言(めちゃ性格悪い)、彼女の目線で語られる登場人物の様子を読んでいくと本当にそうなるんです。簡単に言えば、本当に胸糞が悪くなるんですが、かっぱえびせんのようにやめられない止まらないというか、とても内容に惹きつけられます。それぐらい、女性なら誰しもが抱く劣等感やコンプレックスを露わにしています。どんなに隠していてもこの本を読むと自分にもこんな一面があるのではないかと、とても感じ入るところがあると思います。
構成は、主人公である女性の視点で語られながらも間に登場人物の手記や陳述が挟まります。その内容1つ1つを読んでいくと、まさに気持ち悪さが増していきます。
これは女性の中の愛憎劇っつーか、ただドロドロした内容が書きたかっただけではないような気がします。その中に存在する絶対的な存在、というものが非常に際立って描かれています。世の中に絶対なんてないと思うけど、なんなんでしょう。その部分は解説とかを私自身読んでいないので曖昧です。とりあえず文章の表現や構成が非常に緻密で、この桐野夏生さん自体ミステリーをよく書いている(読んだことはない)人だと知り、とても納得がいく、非常に「合理的」な文章だと感じました。
私は理にかなったものがある種とても好きなので、読んでいて、ここがこうなるとここがこうなって…みたいな、カチカチとはまっていく感じがあってとても刺激的な文章でした。
読むとすごい生気が吸い取られます。
この本、とても面白かったので長く書いてしまいました、長いですが読みやすいと思います。
「乳と卵」 川上未映子
物語を語る視点主は、私という女性なのですが、物語の中心となっているのは私の姉と、その娘です。つまり、姉とその娘の2人の様子を私がオブザーバーとして記述している、という不思議な構成です。
この構成が凄くないですか?
私という存在は物語にほとんど干渉してきません。もちろん会話してるし、色々自分の観点で様子を語ってるけど、私の情報は何もありません、ていうか読んでて記憶にほとんどありません、何これ不思議すぎません?
しかも、この文中の間に姉の娘である緑子の手記が挟まります。その手記の内容も、最初からすると突飛だし(精子と卵子の話)、しかも関西弁で独特な文字感というか、とりあえず小学生の手記ってことで、変なとこで平仮名が入ってたり、文章としておかしかったり、すごい読みにくいです。最初割とすっと入ってこなくて大変でした。
ていうか文章自体もあまり改行がされてなくて、文字ずらって感じで、グロテスクから一転して、とても文章が独特な感じがしました。多分川上さんの文章表現の技だと思うのですが、え、いらんくない?みたいな普通な描写がズラズラと書いてあります。しかもそれが風景の様子、とかではないんですね。その、それが異様にリアルというか。普段私達、風景ジロジロ見なくないですか?
あ、信号、あ、渡る、あ、人人、なんかあの人変な色、とか。暇な時とか、異様に一点を見つめちゃったりとかしません?
その淡々とした感じが文章によく表れてるんです。なんか、必要ない描写が多いように感じるんですけど、それが異様に生活のリアルさがあって。日常感があるんですけど、その中に非日常な感じもあったりして。ってな感じがいいですね。ウン。
内容自体は割と平坦な部分が多く続きます。最後にグッと持ってくる感じがあります。私はこの本の最後の描写に思わず泣いてしまいました。この人の文章、急に凄い胸をかきむしられるような熱いところがあって、そこを読むと、ガーーーッてなって、涙がグーーーッと出てくる、キラキラとも違う、なんだか、生きてるって感じがするんです。特に最後に姉と、その娘の喧嘩シーンは、リアルさと文章でしか表せないファンタジーな部分が入り混じって、とても良かったんです。
とりあえず第一弾の感想でした。
おわり